文化の日ということで…
今日は文化の日。
少しでも文化的に過ごそうかなと…
以前に買った「羊毛文化物語」を読み直してみました。
羊毛という目線から文化史を語るという内容で、絨毯屋必読な感じの面白い本です。
日本の羊毛消費量はアメリカに次いで世界3位(10年程前の統計ですが…)なのですが、その割に羊や羊毛に関する一般人の関心や知識はゼロに近いかもしれません。
まっ、それも無理のないことで、古来より日本人は典型的な農耕民族であって牧羊の風土とは無縁であったと筆者も語っています。
紀元前5000年、或はそれ以上前から人類は羊を家畜化していて、紀元前3000年ころからはユーラシア大陸の南で牧畜が始まったと言われています。
そして羊の頭数イコール財産であったのです。
(詳しくは本を読んで下さいね。そんなに堅苦しくなくて、イイ感じです。)
しかし、その財産ですが…
いっぱいあればそれはもう大変。
みんな草を食べるのですから、その草を求めて移動しなければならないのです。
その過酷さを知る上で、オススメなのが…
GRASS —Nation’s Battle For Life— (1925年)という無声映画。
そのハード過ぎる?移動をする(していた)のがバクティアリ族/ルリ族です。
5万人が家畜を連れて、ザクロス山脈の雪解け水で冷たい冷たいカールーン川を泳いで渡ったり、4000メートル級の山を越え、(遊牧民の格好で本気の登山ですよ。違和感が凄いです…ムリです)、雪と氷の道を進み牧草のある高原地帯を目指すのです。
(動画は川を渡るところから、スタートするように設定しています。全員が川を渡りきるのに6日間かかるんですよ!!!)
これを観ると…
あああああ~、本当に生きるという自体が自然との戦いなんだ。
それに比べて自分なんて、何て、何てヌ・ル・イんだ!
ちと現状に甘んじ過ぎてないかい?
などと自問自答してしまいます。
で、この時代からは少し下りますが1943年。
現代に比べると、この映画の時代とさして変わらない頃にこんな生活をしながら製作されたルリ族の絨毯。
そう、リスペクトすべきものです。
絨毯に織り込まれている数字は1322(年)。今年は1396年ですから、74年前に織り上がったってことですね。
もちろん、ペルシャ暦。西暦に直すと1943年ってことです(笑)。
これを手に入れたのはもう20年前のことです。
思い入れがありすぎて、在庫の山の下の方を定位置にしています。
何故かって?
上の方にあると、売れてしまうじゃないですか!(笑)
Comments
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名前 : 芦屋ペルシャ絨毯研究所 2017年11月4日 9:27 AM
こんにちは。ご無沙汰しています。今回のブログも、とっても勉強になりますね!
うちの研究所も、今月はイスファハンの絨毯をリビングや応接間に敷いていますが、来月はクリスマスシーズンでもあり、カシュガイ族の赤い楽しい柄の絨毯や、ライオンラグをリビングやダイニングに敷こうと思っています。
遊牧民が命がけの日々の中、一所懸命に織ったそれでいてとっても楽しい柄の絨毯は、本当に踏み応えのある素晴らしい絨毯ですね!
今回のブログの知識で、またペルシャ絨毯の魅力に厚みがましました。
いつも有意義なブログをありがとうございます。また時間を作ってお店に伺いますね。 -
名前 : rugsts 2017年11月4日 1:23 PM
芦屋ペルシャ絨毯研究所さま>こんにちは。コメントありがとうございます。
本ても動画でも店に居ながらにして手に入る良い時代になりました。
十数年前までは、ペルシャ絨毯の知識を得るのには大変な努力が必要でしたが…
またネタを仕入れてアップしますね。
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