断筆?
断筆宣言か?ってほどブログ更新してませんでしたね。
実はコロナ禍3年間は意外に忙しくて、キャパの低い絨毯屋店主は余裕のない毎日を送っていましたが…
最近になって、このブログタイトル「暇な絨毯屋オーナーのつぶやき」の通り、何だかヒマになって来た感じなんです。なので、ブログ再開ってところでしょうか。
喜んで良いのか悪いのか(笑)
現地からは「タマキジャン、順調に絨毯集まってるぜ〜」と報告があったりするのですが、頑張って売らないとですね。
さてさて、どんな話題やネタから書いていきましょうか。
↑これは1ヶ月以上前にインスタに上げた画像。
あるお客様が来られた時に「とある産地」の「とある時代」のものを並べてみたもの。
このブログに来られる方なら「とある」はお分かりでしょうね。
そのインスタに書いたキャプションは↓
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Pre Seirafian circa 1910~30
We have some others.
イスファハン産で縦糸がコットンの時代をプレ・セラフィアンと呼んだりします。この後、パーレビ国王の肩入れもありイスファハン産絨毯は絶頂期を迎えます。
アラベスクデザインの優雅な曲線が織りなす繊細な工房モノのイスファハンも良いですが、この時代の絨毯も是非ご覧あれ。
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そう、いわゆるPre Seirafianなどと呼ばれる1910~1930年あたりに制作されたイスファハン産の絨毯たちです。
いいんですよね〜この時代のイスファハン 。
でも、この辺りの絨毯って売れ筋からは遠〜く遠〜く離れたジャンルです。
当然、普通の人は買いませんし、買わない方が賢明です。
そしてこの時、上の画像の他にショーウインドウに展示していたのがこれ↓
We have some others.他にもあるぜ〜、って自慢してるのがコレです。
実はペアなんですが、一枚は5年以上前に入荷していて、もう一枚はその後の直近の仕入れ。
何年もの時間差で100年前の絨毯が同じところ(日本もイランもアジアですが、東西の端と端)で再会するって、すごくないですか?
では同じ部分を比較してみましょう。
メダリオンの左斜め上部分です。
同じような場所でアブラーシュ(経年による色斑)が出てますね。
これは絨毯を製作するのに必要な羊毛を一度に染めて全量用意しないので、途中で足しつつ結んで行くのですが、完成当初は同じブルーに見えても経年で糸を変えた部分に色斑が発生して縞状に色の差が出てきます。
これが同じようなところで出ていると言う事はルーム(織機)が並んでいた、それも同じ時期に並行して製作されたと考えて間違いないでしょう。
そして更に興味深いのは、一枚には少し踏まれた形跡があり、もう一枚は全く踏まれていない。
踏まれた方は部屋に敷かれていたのですから、自然光に晒された経歴あり。
もう一方は巻かれて大事に保管されていた様で、どうも光に晒されてないみたい。
このようなことから全く同じ素材と染料で同時期に制作された物を比較して、その差異を確認出来るって事です!
とても面白いですよ。
踏まれる⇄踏まれない = 摩擦による艶が出ていない⇄摩擦による艶が出ている
自然光を受ける⇄受けない = 経年の色の熟成+紫外線による退色⇄経年の熟成+紫外線による退色なし
要は…
踏まれた方→ パイルに艶が出て美しく、色は経年美化した上に自然光でほんのりフェードがかり、こなれた感じの出た逸品。
保管されてた方→ パイルは生々しく100年の時を感じさせないくらい出来立てのようで美しく、色は時間による熟成だけが加わって、まるでタイムマシーンでやって来たかのような逸品。
って事です。
まあ、百聞は一見にしかずって言うでしょ。
ご興味のある方は是非見にいらしてくださいね。
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